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帯に住宅地から駅への輸送が慢性的な渋滞のため、通常28分程度で到達できるものが40分から1時間も要していた様です。しかし、バイパスの完成に併せて片側2車線の内1車線を午前7時から9時までの間、バス優先レーンとし、大々的なPRとガードマンの配置により効果が発揮され所要時間が短縮された上、定時運行が可能となり、かなり効率的な運行ができる様になったそうです。また、車両32両に僅か2両を増備しただけで利用人員が4ヶ月で倍増したということです。
成功の要因は、道路の供用開始と同時に地域が総ぐるみで公共交通機関であるバスの優先対策を実施したことにあると思います。定時性を確保すれば、増客の可能性があることを示す好事例であるとも思います。
そこで、私からは、乗合バスの課題を解決していくためにマイクロバスの活用について提案します、学園前地区でマイクロバスにより交通空白地帯を可能な限り解消し、公共交通の充実を図りましたが、ここでマイクロバスの活用についての事例を報告します。需要の低い地域は低コストのマイクロバスで対応するのは当然ですが、都市部の狭隘道路の多い地域や需要が少ないために空白になっている地域に対しても車両寸法が小さく低コストのマイクロバスを走らせるという考えに基づきマイクロバスの活用を推進し、当社およびマイクロバス専用のエヌシーバス(当社の子会社)を合わせ現在128両の乗合マイクロバスを保有している。現在、乗合バスの18.1%がマイクロバスになっている。参考までに全国での導入率は奈良県の約10分の1程度となっています。また、2年前の高知県のバス事業者大会でマイクロバスについて発表させて頂いた時に比べ、奈良では2年間で27両(4.6%)、全国でも223両(O.4%)増加しました。武蔵野市のコミュニテイバスのムーバスにもマイクロバスが使われています、当社はこれからも大型バスをマイクロバスに切替え、マイクロバスの新路線を増やしていく予定です。全国の乗合バスにも多くのマイクロバスの導入可能性があり、乗合バスのもつ課題をこれにより解決する可能性が大いにあると思います。マイクロバスの活用による効果は、大型バスのコストに比べ25〜30%の低減が期待され、運転者の確保でも当社の実績では容易になっています。公共交通ネットワークが整備されることにより、私的交通が抑制され、バス優先策を採りやすくなることや事故防止、環境保全等でも効果が期待されます。当社のマイクロバス導入による経済効果は、マイクロバス専用運転者の労働条件の設定、エヌシーバスヘの管理の受委託・路線の委譲、マイクロバス化によるコストダウン等が年間で約5億円、マイクロバスで新路線を開発し、新しい需要開拓により得た利益が約1億円、合計6億円の効果がみられました。全国の人口、乗合バス車両数も奈良県の約90倍なので、全国のコストダウンが奈良県の例でいうと450億円、新規需要が90億円、合計540億円の効果が期待できると思います、そうすると、全国の乗合バス標準事業者の赤字が年間1千億円であり、約半分を解消することができ、多くの路線が維持され都市部の空白地帯にバス路線が開設されることも可能と思われます。この様に大きな効果が期待できるマイクロバスの導入が今後さらに促進されるためには、事業者としてマイクロバスの運転者独自の労働条件の設定が不可欠となりますが、車両の開発および大量生産によるコストダウンやマイクロバスに対する課税、交通施設に対する費用、道路占用料、道路交通料、ターミナル使用料および保険料等の減免をはじめ、マイクロバス優遇の助成制度の採用、将来の運転者不足に対するために乗合バスに限定したマイクロバス限定の大型2種免許の導入等が必要と思われます。そのために関係者のご理解とご支援をお

 

 

 

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